200万個を販売した「スナップウオッチ」、20万台を販売した「プラズマカー」、25万個発売した「リップスティック」などのヒット商品をはじめ、最近では「ラングス エコポニー」や「エアースイマー」といった話題性のある商品を送り出している。
子どもだけではなく、買ってあげた親も一緒に夢中になって楽しめるスポーツ玩具を中心として、心をわくわくさせるユニークな商品を続々リリースしている企業がラングス ジャパンだ。

rangsjapan

同社社長の小林美紀さんは、就業経験はゼロで、子育てをしながら34歳の時に起業した。オーストラリアからブーメランの輸入を始めたのがきっかけだ。その後、取扱商品の幅を広げ、現在では年商20億円を超えようという規模に成長した。その原点は「心ときめかせる、面白いものを見つけて広めたい」という純粋な思いである。
編集部ではこのたび、小林さんに話を伺った。
―――話題の商品、ヒット商品を数多く世に送り出していますが、相当な労力を使って新商品を探されておられるのでしょうね?

「そのように思われるかもしれませんが、相当な労力を使っている感覚もなく、新商品を必死に探しているわけでもないのです。たぶん、好奇心が旺盛だから出会うのだと思うんです。『素敵な人』や『素敵なモノ』と。自然な出会いか、必然の出会いかその区別がつかないくらい、確かに『面白い人』や『面白いモノ』に出会います。」
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「商品との出会い→販売」は、「結婚→夫婦生活」と同じではないか思う時があります


「商品は爆発的にヒットしても、必ず安定販売に入る時期が来ます。ピークが終わり販売数が落ち着いてきたとしても、つまらない新商品よりは高止まりしているのに、商品の寿命は尽きてしまったととらえ、販売をやめてしまうメーカーさんが多いから、商品サイクルが短かくなるんだと思います。

夫婦関係や結婚、恋愛にも似てると思う時があります。自分が最初に選んだ時の気持ちや情熱を持ち続けられるような「モノ」や「人」を選び、その気持ちを継続し飽きることなく関係を深め、育て上げていくというところが、似ているし面白いです。

商品と長く付き合っていれば、別の販売方法を考えてみたり、新しい魅力を発見したりします。商品との出会いやしつこいくらいの販売継続の中に、結婚生活と照らし合わせて考えることもあります。」
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何も知らない子育てママが行動力と恐いもの知らずで突き進んだ創業時


―――どのような経緯で起業されたのですか?

「起業するまでは、おけいこ事を沢山やっていました。お花、編み物、エレクトーン、組みひも、着付け、パン教室など、ひたすら消費する主婦でした。好奇心が旺盛で、人一倍エネルギーがあったのか、7つもおけいこ事をしていたんですよ。それも楽しかったし、それに集中していました。でも、どんどん作品が増え、たまっていったんです。今ならネットで販売したかもしれませんね。(笑)

このエネルギーを別の方向に向けたほうがいいのではと思っていたところに、当時、オーストラリアのラングス社のブーメランに出会ったのです。まだブーメランは日本に市場としてない商品でしたので、素人の私でも競争相手もなく、自分のペースでやっていけるのではないかと思い、『輸入販売ごっこ』みたいなことからスタートしました。

そこで、なんとなく日本総代理店っぽい名前にしたかったから『ラングスジャパン』という社名にして。初めは何もわからないから、主人にこのブーメランはどこで売れるかきいたら『東急ハンズがいいんじゃない?』ということで。

当時は流通のルールも販売用語も何も知りませんでしたが、ブーメランを渋谷の東急ハンズの店長に直接送って、会いに行って取り扱いを直談判しました。でも商談に行ったのに東急ハンズの店内には面白いものがありすぎて、両手いっぱい買い物をし、袋を持ったまま商談をスタートしました。

『上代は?』と、聞かれて『上代って何ですか?』と聞き返しているくらいですから、迷惑な面倒くさい人が来たと思われたかもしれないですが、商品にものすごく魅力があったようで、すぐ導入が決まりました。今から考えますと、商品を送る相手は店長ではないですね(笑)」

子どもたちがシニアになっても存在する商品が遊び文化を育む


―――遊び心ある商品ばかりを取り扱っていますが、今の日本の子どもたちの遊びに欠けているものって何でしょうか?

「遊びに関して、日本は欧米に比べると少なくとも一世代は遅れているような気がします。たとえばラングスの『リップスケート』を公園で遊んでいたら、『ここではスケートに乗らないでください』と注意書きの看板がありました。ヘルメットを着けないと遊ばせてくれない場所もあります。
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アメリカではそんな看板はないですよ。子どもの遊びたい気持ちと親の意識、自己管理の上で遊びは進化していきます。日本では公共の場所に多くの制約があり、遊びたい場所、遊びたい時に遊べない場合が多いです。

でも、そうしたことを無理やり今の世代で変えるのは難しいことですが、スケボーや『リップスケート』で遊んだ人たちがおじいさん、おばあさんになるころには、そんな注意書き看板はなくなるんじゃないかと思うんです。そうした遊びを子ども時代に体感した年配者がいないから、わからないだけなんじゃないかなぁと思ったりしています。

たとえば今、私は8歳とか9歳の子に『リップスケート』を教えているんですけど、それはその子たちに教えているというよりも、20年、30年後のお父さん、あるいは50年、60年後のおじいさんに教え広めているんだという気持ちでやっています。そう考えると楽しいですよ。もしかしたら将来の日本を動かす総理に教えているかも?と考えが楽しく膨らんでいきます。

そうすれば、子どもたちが遊び心をもった素敵な大人やシニアになることはもちろん、私たちの提供する商品を、子ども時代に楽しんだ人が世代を超え、一緒になって遊んでくれるでしょ。そして、いずれは遊びが文化として根付いていけばいいと思っています。」

責任の幅を少しずつ広げていけたら素敵なママになれるのではないでしょうか


―――小林社長は大先輩ママでもありますが、今の若いお母さんたちへのメッセージをお願いします。

「私はもう9歳と5歳の孫がいますが、2人の娘とまだ医学部4年の息子もいます。まだ現役ママでもあります。子供って私がいくつになっても私をママでいさせてくれるので、私も未だに試行錯誤しながら、私なりにママをやっています。

そんな中で思うことは、自分の日常の中で『ありがたい』と思えることをたくさん発見できる感じ方や考え方がその人を幸せにしてくれるんじゃないかなと思っています。

私の場合、根っからのプラス思考であることが、意識しなくても、ありがたいとしか思えない結論に至るのですが、どんな方でも、「ありがたい」と思えることを自分の生活の中で意識して見つけることができたら、きっとハッピーな気分でいられるではないでしょうか。

私の子供たちの会話を聞いていると、『ありがたいね』という言葉をよくつぶやいています。嬉しいことがあったら誰かのおかげ、嫌なことに出会ったら自分のせい、と考えることができれば、それが向上心につながると思います。

そして、ご自身の責任の幅を少しずつ広げていけたら、素敵なママになれるのではないでしょうか。私も、生きている限りいくつになっても子供の素敵なママでいたいと思っています。夫に対しても出会ったころの優しさとはちょっと違うかもしれませんが、素敵な妻であり続けたいですね。」

ラングス ジャパン ホームページ


深田洋介深田洋介
学研の編集者、AllAboutのWebエディターを経て、サイバーエージェントの新規事業コンテストでは子育て支援のネットサービスでグランプリを獲得、その後独立。現在は子育て・教育業界×出版・ネット媒体における深い知識と経験・人脈を駆使して活動中。2001年生まれの娘の父。