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染色からブーメランのカラーリングそして今は

二十代のころ、日展作家の金丸水明先生に染色を学んだ。
友人の着物や、母の着物や、染色パネルたくさん描いた。
描きすぎて腱鞘炎になった。何でもやり始めると24時間の世界になる私。

それなのに、なぜ継続しなかったのか・・・・
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これは私がデザインし彩色し、弟のお嫁さんにプレゼントした留袖

伝統的な柄にはいろいろな決まりごとがあり、それをきちんと守った図柄。

前衛的なものより、伝統的なものが当時は好きだった。
伝統の中に在る決め事は、生きるベースとしても大切にしている。

先日、その義妹が日本女子大の同窓会で久々東京へ・・・2人で食事したときのこと

「来年、娘の結婚式に初めて袖をとおすの・・美紀ちゃんから作ってもらった留袖」と
嬉しそうに話してくれたけど、私はそのことをすっかり忘れていた。

弟が彼女と結婚が決まった時、母に促され、私がそのプレゼントで描いたことを・・・
思い出した。

いつか自分のものを描こうと思っていたけど、
人にプレゼントばかりしていたあの頃・・・描くことは永遠と思っていたから
プレゼントといいながら、それは、いつか自分のためのものを描くための練習だと思っていた。

(唯一、自分のために描いた1枚はこの訪問着だけ。
家の周りの藪枯らしをスケッチして題材にした・・・小さく・・・美紀と落款(サイン)も入れた)

地色は蒔絵技法 当時憧れた人間国宝森口華弘をまねて自分で工夫した。
糊引きも、伏せ糊も糊つくりもすべて外注には出さず自分でした。
のりを作るのは蒸して作るのでお団子みたいで時々食べたくなったほど美味しいにおいがした。
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藪枯らしはたんなる雑草で、繁殖力のある竹藪の竹までも枯らしてしまうくらい
パワーがある植物・・・普通当時は着物の題材にそんなものは選ばない・・・
通常は四君子といって蘭、竹、菊、梅の四種を中心に描いて気品を出すものが
初歩的な決まりごと。・・・・・そのころから、私は私だったようだ。
この恐るべし藪枯らしという雑草が自分とダブるときもあったりして

長女里奈が生まれて、絵を描いてる場合じゃなくなり、
娘に手編みのセーターを着せたく編み物を習い始めた。
たくさん編んだけど、いつも人にプレゼント・・これも編むことは永遠と思ってたけど
自分のものは1枚だけだった。

染色の道具は引越しのたびに持ち歩きまたいつか絶対描こうと思っているうちに
次に運命のブーメランに出会ってしまった。

その後ブーメランのカラーリングが楽しくなって、描くのは着物でもキャンバスでもなく
ブーメランに彩色・・・こんなプロフェッショナルなものを描いていたのに・・・・

それほどまでして描いていたのに私はなんでこんな道に進んでしまったんだろう・・・
と何度も思った。少し悩んだ。

でも今はこの写真を見て思うことは、
私は何でこんな大変なものを描いていたんだろう・・・と。

あれだけ描きたかったのに・・・4年も学んだことだったのに。

私は誰の元に働いた事もなく、誰の指示を受けたこともなく
いつも指示を出すのは自分自身。19歳で両親の元を離れたから自由奔放。
方向性の異なることを、いろんなことをやってきた
そのつど、いつもあきれるくらい全力・・・・

今、仕事自体を美しくバランスよくデザインし、スタッフをバランスよく配置し
そして今年は小さいけど、ビルを建ている。

そのビルは、私にはアート。染色の世界もそこには詰まっている。

4年学んだ染色は進化していまも壮大な形で進化しつつけていると思えるようになった。
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着物には実家の家紋沢潟(おもだか)をつけた
この家紋の草は多年生水草で、沼、池、沢などに自生する。

平安時代から勝ち草とも呼ばれているらしい。

先祖がいつかこの文様を家紋にしたのだと思うけど、勝って生きたいという
気持ち、心根があったのだと思う。
そんな事も含めてDNAって言うのかもしれない。
私にも常に、昨日の自分に勝ちたい・・・負けたくない・・今日の自分がいる。
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21歳一生懸命アートしていた頃・・・それ以外何も考えていなかった。
by rangsjapanM | 2008-12-11 22:44 | Trackback | Comments(0)

ラングス代表小林美紀です。仕事をしていく中で感じるさまざまなことを書かせていただいております。http://www.rangsjapan.co.jp/


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