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父との別れ

「お父さん、今週は東京おもちゃショーがあるから
いけないけど、来週の土日には行くから・・・」と、
いつものように毎朝の携帯トーク。

「楽しみにして、待っているから」と、
いつもとはまったく違う初めて聞く父の涙声。

これが私と父の最期の会話となりました。

2日間のバイヤーズデーが終わり、
土曜日パブリックデーの朝

石川県に住む弟から、
父の様態急変の知らせを受けました。

用意していた、ポップスニーカーズのショーや
ラングスブースの人の反応を確認したい
と言う思いもあり午前だけ仕事をこなした。

午後3時には父の待つ病院に到着。

私は父の耳元で何度も
「お父さん、お父さん」と呼びかける。

これは亡くなる6時間前の話です。

「お父さん、大きい声で呼ぶからうるさい?
ちょっとでもわかったら反応してね」

父の目に涙がにじんでるから
「きっとわかってるんだけど、
辛くて反応できないだけよね」と話しかけたり。

夜9時23分私は病室で人が死に行く姿を
初めて経験しました。

「父の死」一瞬何が起こっているのか
まったく理解できない瞬間でした。

「これってどういうこと?」
モニターのすべての数字がゼロになった。

「お父さんの酸素マスクが反応してないって
息が止まったってこと?」

「もう一回動くんでしょ?
これって終わりってことじゃないでしょ?」

病室には弟と私と医師である夫。
もしかしたら夫を1番医者と感じた日だったかも。

この日から、父のことを語るすべての言葉が
過去形になりました。

父が亡くなる瞬間まですごく悲しかったのに

亡くなった瞬間から、それが寂しさに変わりました。

悲しいときは、涙が出たのに、
寂しいってことには涙が出ない?

その別れの瞬間から、葬儀までまったく涙なし。

ところが、出棺のとき、
お父さんがお父さんの大好きな家から出て行く瞬間

またものすごく悲しくなりました。

末期癌と聞いたのは、2年前のことでした。

今日、父の洋服を片付けていたら、
その癌を宣告された日着ていたと思われるスーツを発見。

ポケットの中にはタリーズコーヒーのレシートと
ハンカチとクシとティッシュ

そういえば弟とタリーズで
待ち合わせしてるって言ってた・・・
そういえば・・・

これって告知される前だわ・・・
レシートの時間と、オーダーの多さでそれがわかった。

告知された父は弟の肩にすがって
泣き崩れたと聞いた。

弟は初めて父のそんな姿を見たと言っていた。

私は棺の中にお父さんの最愛の母親、
私にとっては「お婆様」の写真を入れてあげた。

予定より1週間早めてお見舞いに行ったつもりが、
葬儀になってしまい

そのままこの1週間お休みをいただいています。

父が亡くなった時のそら

父との別れ_d0148223_10030553.jpeg

by rangsjapanm | 2014-06-20 04:18 | Trackback | Comments(0)

ラングス代表小林美紀です。仕事をしていく中で感じるさまざまなことを書かせていただいております。http://www.rangsjapan.co.jp/


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